死ぬまでに観るべきドラマ“デスパレートな妻”たち
多くのドラマを観てきたけど、
やっぱりこれ以上のツワモノは出てこない。
家族、友情、恋、母そして死。
誰もが抱える葛藤や絶望をコメディーに描くも、時には涙を誘う。何とも皮肉のバランスが取れたドラマである。
アメリカのとある郊外の閑静なウィステリア通りは誰もが憧れる住宅街だ。そこに住むのは何処にでもいるような夫婦や家族。
この通りが完璧に見えるのはウィステリア通りに住む彼等が完璧だからだ。秘密を隠すことに関して…。
誰にでも過去や秘密はあるものだけど、このドラマが問うのは代償を払うほどの価値があるのかどうか。
“過去は行く川の流れのようなもの。留まることなく、若き日の過ちを運び去る。 失ってしまった愛。手を出してしまったクスリ。無駄にしてしまったチャンス。 でも、遅かれ早かれ、その断片も押し戻されてきて、犯した罪や過ちが日々の生活を脅かす。”
忘れようとする過去ほど忘れることが出来ないし、犯した誤ちは賺さず己を問い詰める。
ドラマに登場する4人の妻たちを筆頭に、人生の難題や幸福について認識することができる。
◆スーザン・メイヤーはティーンエイジャーの娘を持つシングルマザー。
絵本作家の彼女は常に白馬に乗った王子様が現れると信じている無垢な女性として描かれている。信じたものは絶対に信じ抜く精神があるからこそ災いを招いてしまう。
◆ブリー・バン・デ・カンプは2人の子供を持つ母であり完璧な妻。
テキパキと家事を熟し、彼女の作る料理はミシュラン並みの豪勢さ。頭には高く掲げられた理想と胸には愛国心というのが彼女である。完璧を求めすぎることにより家族との仲に溝が生まれてしまう。
◆リネット・スカーボは5人の子供を持つ専業主婦。
子育てに生き甲斐を感じつつも本当は胸の何処かで仕事に復帰したいと考えてしまう自分に劣等感がある。理想よりも現実を追う性格のため時に冷酷さが垣間見える。
◆ガブリエル・ソリスは欲望に従順な元パリコレモデル。
玉の輿に乗り一見幸せに見える彼女だが、留守がちな夫に不満を抱き寂しさに溺れかけている。豊かな生活を送るも満足することはなく、その欲深さが危険を招いてしまう。
この4人の妻を主人公に物語は進んでいく。彼女達は全員が個性を持ちそれぞれに自分を重ね合わせて観ることができるからドラマに魅了される。
隣りの家の芝生は青く見えるものだし、完璧に子育てを貫いても子供は親不孝者に育つ。人生の皮肉さが絶妙に描かれているのも魅力の1つでもある。
そしてこのドラマは1話毎に名言を残すからこそ深みが増す。
▪︎人生は旅だ。その行程には道連れがいるに越したことはないが、途中で道連れを失うことも往々にしてある。 そこからの旅は、まるで苦行だ。【メアリーアリス】
人生の孤独についての名言は、孤独を知った者にしかわからないし胸に突き刺さるはず。
▪︎この手の悲劇では、誰もがこう自問するという。“もし万一”。…もし彼が助かっていたら。もし別の選択をしていたら。もしあれが過ちだったとしたら…。 しかし、神父はこう説く。故人を偲ぶ一番の方法は、ありのままを心に留め、遺された者が精一杯生きていくことだ。【メアリーアリス】
生きていれば選択を間違えたことを悔やむことが必ずあると説いてくれる。だからこそ悔いのない1日を過ごせた時に人は心から余裕が生まれてくる。
このドラマが放送を開始したのは12年前という驚き。当時、中学生だったけど改めて見直して観ると女性として生まれてきた役割や生き方について学ぶことが出来る。
#女性のバイブル